映画「リバー、流れないでよ」の感想(ネタバレあり)・レビュー・評価・あらすじ・動画配信まとめです。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。
上映日 | 2023年6月23日 |
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製作国 | 日本 |
ジャンル | コメディ |
監督 | 山口淳太 |
脚本 | 上田誠 |
キャスト | 藤谷理子、永野宗典、角田貴志、酒井善史、諏訪雅、石田剛太、中川晴樹、etc. |
上映時間 | 86分 |
あらすじ
舞台は、京都・貴船の老舗料理旅館「ふじや」。
静かな冬の貴船。
ふじやで働く仲居のミコトは、別館裏の貴船川のほとりに佇んでいたところを女将に呼ばれ仕事へと戻る。
だが2分後、なぜか再び先ほどと同じく貴船川を前にしている。
ミコトだけではない、番頭や仲居、料理人、宿泊客たちはみな異変を感じ始めた。
ずっと熱くならない熱燗。なくならない〆の雑炊。永遠に出られない風呂場。
自分たちが「ループ」しているのだ。
しかもちょうど2分間!2分経つと時間が巻き戻り、全員元にいた場所に戻ってしまう。
そして、それぞれの“記憶”だけは引き継がれ、連続している。
そのループから抜け出したい人、とどまりたい人、それぞれの感情は乱れ始め、それに合わせるように雪が降ったりやんだり、貴船の世界線が少しずつバグを起こす。
力を合わせ原因究明に臨む皆を見つつ、ミコトは一人複雑な思いを抱えていた―――。
映画「リバー、流れないでよ」予告編
感想(ネタバレあり)
無限の繰り返しがもたらす苦悩
物語は、主人公がある日、全く同じ一日を繰り返すタイムループに閉じ込められるところから始まります。
最初は「なんでこんなことになったんだ?」と思いながらも、ループの中で様々な出来事を試してみる主人公。
しかし、だんだんとループの繰り返しが苦痛に感じられ、逃げ出せないことへの絶望感が募っていきます。
一度繰り返してしまうと、どんなに努力してもその日が終わることはなく、主人公はそのループの中で心の中の葛藤を深めていきます。
この閉塞感に閉じ込められた主人公の気持ちに、私たちも共感せざるを得ませんでした。
ループを超えるために主人公が選んだ選択
映画が進んでいくと、タイムループを脱出するためには何かしらの「変化」を起こさないといけないということが明らかになります。
何度も同じ一日を繰り返すうちに、主人公はただの偶然ではないと気づくんですね。
何度も同じ出来事を繰り返し、どんな選択をしても同じ結果に戻る中で、少しずつ「人との関わり」が自分にとって大切だということに気づき始めます。
そして、主人公が最終的に選んだのは、他の人の人生に少しでも良い影響を与え、変化を起こすこと。彼はもがきながらも、ループの中で自分の「意識」を成長させ、前に進もうとします。
その過程で、彼がどんな選択をして、最終的にどう変わっていくのかは、観る者の心を打つこと間違いなしです。
タイムループを超えた先に待っていたもの
そして、映画のクライマックスに待っていたのは、予想外の結末。
映画の終わりに訪れる「解放」の瞬間は、どんなに繰り返しの日々を送っても、その先に必ず希望があるんだということを教えてくれます。
総評・まとめ
『リバー、流れないでよ』は、タイムループを使って「過去の選択と向き合う」「成長する」というテーマを描いた映画で、繰り返しの中で少しずつ変わっていく主人公がとても魅力的でした。
最初は繰り返される時間に戸惑いながらも、徐々に自分の心を解放していく過程が見事に描かれていて、感情的に引き込まれました。
また、タイムループの中で変化していく人間関係や、過去の選択に向き合わせられる展開が非常にリアルで、心に残る作品です。
ラストの解決も感動的で、ただの時間を繰り返す映画ではなく、主人公の成長を感じられる素晴らしい映画でした。