映画「DOGMAN ドッグマン」の感想(ネタバレあり)・レビュー・評価・あらすじ・動画配信まとめです。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。
上映日 | 2024年3月8日 |
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製作国 | フランス、アメリカ |
ジャンル | アクション、サスペンス |
監督 | リュック・ベッソン |
脚本 | リュック・ベッソン |
キャスト | ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、クリストファー・デナム、マリサ・ベレンソン、マイケル・ガーザ、クレメンス・シック、etc. |
上映時間 | 114分 |
あらすじ
ある夜、警察に止められた一台のトラック。
運転席には負傷し、女装をした男。
荷台には十数匹の犬。
“ドッグマン”と呼ばれるその男は、半生を語り始めた―。
犬小屋で育てられ暴力が全てだった少年時代。
トラウマを抱えながらも、犬たちに救われ成長していく中で恋をし、世間に馴染もうとするが、人に裏切られ、苦しめられ、深く傷ついていく。
犬たちの愛に何度も助けられてきた男は、犬たちと共に犯罪に手を染めてゆくが…。
映画「DOGMAN ドッグマン」予告編
感想(ネタバレあり)
衝撃のオープニングと、明かされる過去
映画は、トランスジェンダーの格好をした主人公が、大量の犬を乗せたトラックで警察に捕まるところから始まります。
この時点で「え、何がどうなってるの!?」と一気に引き込まれますよね。
そして、精神科医との面談を通して、彼の過去が語られていきます。
これがまた壮絶なんです…。
虐待の日々、そして犬との出会い
幼い頃から父親にひどい虐待を受けていました。
犬たちと一緒に檻に閉じ込められ、ろくに食事も与えられない日々。
そんな過酷な環境の中で、唯一彼に寄り添い、救ってくれたのが一匹の犬だったんです。
この幼少期の描写が本当に痛ましくて、観ていて胸が締め付けられました。
しかし、そんな中でも、犬たちだけが彼にとっての光であり、心の拠り所だったことが強く伝わってきます。
犬たちに囲まれている時だけは、彼の顔に安堵の表情が浮かぶんです。
孤独な魂と、犬たちの無償の愛
主人公は常に孤独です。
人間社会の中では疎外され、誰にも理解されない。
そんな中で、彼を支え、守り、愛してくれるのは、常に犬たちだけなんです。
彼の傍らには、いつもたくさんの犬たちがいて、彼らはまさに彼の「家族」であり「仲間」です。
主人公が彼らに語りかける言葉、そして彼らが主人公に送る無条件の愛情に、何度も胸を打たれました。
犬たちが彼にとってどれほど大きな存在であるか、痛いほど伝わってきます。
特に印象的だったのは、彼がマリリン・モンローの曲を歌うシーン。
その歌声は悲しくも美しく、彼が抱える孤独や痛みが、歌を通して伝わってくるようでした。
そして、その彼の傍らには、いつも犬たちが寄り添っているんです。
結末、そして残されたもの
そして、物語は衝撃のラストを迎えます。
警察に追われ、銃撃戦となり、多くの犬たちが犠牲になってしまいます。
彼の死は、あまりにも切なく、悲しい結末でした。
しかし、彼の死後、彼が語っていた「犬たちは彼が死んでも、きっと自分を探しに来るだろう」という言葉が、現実となります。
残された犬たちが、彼が埋葬された場所を探しに来るシーンは、涙なしには観られませんでした。
犬たちの無償の愛が、彼の人生の全てだったことを改めて痛感させられます。
彼は孤独な人生だったけれど、最期まで犬たちに愛され、彼らの絆に包まれていたんだと。
総評・まとめ
『DOGMAN ドッグマン』は、犬と人の絆の深さを描いた、壮絶で、そして切ない物語でした。
犬好きの方には、犬たちの賢さや忠誠心、そして彼との深い絆に、きっと感動するはずです。
しかし、同時に人間の残酷さや孤独も描かれているので、心して観る必要があるでしょう。
リュック・ベッソン監督らしい、スタイリッシュな映像と、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズの鬼気迫る演技も素晴らしいです。
彼の繊細で複雑な感情表現に、釘付けになりました。
観終わった後には、色々な感情が渦巻く作品ですが、間違いなく心に残る一本になると思います。
犬を愛する全ての人に、ぜひ観てほしい映画です。