映画「はじまりのうた」の感想(ネタバレあり)・レビュー・評価・あらすじ・動画配信まとめです。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。
上映日 | 2015年2月7日 |
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製作国 | アメリカ |
ジャンル | 音楽 |
監督 | ジョン・カーニー |
脚本 | ジョン・カーニー |
キャスト | キーラ・ナイトレイ、マーク・ラファロ、ヘイリー・スタインフェルド、アダム・レビーン、ジェームズ・コーデン、キャサリン・キーナー、モス・デフ、etc. |
上映時間 | 104分 |
あらすじ
ニューヨークの街角を録音スタジオに!?ミュージシャンの彼デイブ(アダム・レヴィーン)に裏切られ、ライブハウスで歌う失意の主人公グレタ(キーラ・ナイトレイ)。
偶然居合わせた落ちこぼれの音楽プロデューサーのダン(マーク・ラファロ)との出会いがデビューの話しへと発展するが、録音スタジオは、なんとニューヨークの街角!?!?
路地裏、ビルの屋上、地下鉄のホームとゲリラレコーディングは実施され、この無謀な企画が小さな奇跡を起こし始める。
そしてアルバムが完成したその日、誰もが予想できなかった最高の「はじまり」が待っていた。
映画「はじまりのうた」予告編
感想(ネタバレあり)
グレタの変化と自己再生
映画の冒頭で、グレタは失恋し、音楽業界に対して深い失望感を抱えています。
彼女はかつて恋人だったデイヴ(アダム・レヴァイン)と共に音楽を作り、夢を追いかけていましたが、デイヴに裏切られ、すべてを失ったような気持ちに陥っています。
彼女が人生に対して抱える痛みや葛藤が、最初からリアルに描かれています。
ところが、ダンとの出会いがグレタを変えていきます。
ダンは、人生に失敗し、仕事でも家庭でもうまくいかない男ですが、グレタの歌声に触れ、彼女に音楽を作り直すことを提案します。
グレタは最初、音楽を作ることに消極的で、彼女の中で音楽に対する情熱が冷めてしまっているのが伝わってきます。
それでもダンの誠実な熱意に触れることで、少しずつ再び歌を作る気力を取り戻していきます。
グレタが音楽を通じて自分自身を再生していく姿には、深い共感を覚えました。
特に、彼女がライブハウスで初めて自分の音楽を聴かせるシーンは、彼女の心の中の傷が少しずつ癒されていく様子が感じられて、非常に感動的でした。
グレタが再び音楽を通じて自分を取り戻し、前向きに生きる力を見つける瞬間が、この映画の最大の見どころだと思います。
ダンの成長と家族との関係
ダンのキャラクターも非常に魅力的でした。
最初、ダンは音楽業界において過去の栄光にすがりつつ、商業主義に翻弄される日々を送っている男です。
彼は自己中心的で、家族との関係もぎくしゃくしており、仕事においても失敗続きです。
しかし、グレタと出会い、彼女の音楽をサポートすることで、次第に彼自身の人生にも変化が訪れます。
ダンが音楽に対してもう一度情熱を取り戻し、同時に家族との絆を回復しようとする過程が描かれていて、彼の人間的な成長に感動しました。
特に、ダンが娘との関係を少しずつ修復していくシーンでは、父親としての責任感が感じられて、思わず涙が出そうになりました。
音楽と商業主義の対立
映画全体を通して、「音楽とは何か」「アーティストの純粋さとは何か」というテーマが繰り返し描かれています。
ダンがレコード会社との取引を進める中で、音楽が商業主義に流されていくことに疑問を抱くシーンや、グレタが自分の音楽を守ろうとする場面は、音楽業界の厳しさや商業的なプレッシャーをリアルに感じさせました。
それでも、最後にグレタが自分の音楽を聴衆の前で演奏するシーンでは、音楽がもたらす純粋な感動やつながりが強調されていて、商業的な成功を追い求めるだけでなく、音楽そのものに価値があることが再確認されます。
このシーンでは、音楽が人々をつなげ、心を打つ力があることを改めて実感しました。
最後のシーンとメッセージ
映画のラストで、グレタがダンと共に街の屋上でライブを行うシーンは、非常に力強いものでした。
彼女が自分の音楽を心から楽しみ、またダンがそれをサポートし、二人がともに新たなスタートを切る瞬間が描かれています。
このシーンが象徴するように、映画全体が「失敗を恐れずに新しい一歩を踏み出すこと」「音楽や人とのつながりが再生の力になる」というメッセージを強く伝えています。
グレタが自分を取り戻し、音楽を通じて再生する過程、ダンが家族との関係を修復し、自己を見つけ直す過程が深く心に残る映画でした。
総評・まとめ
はじまりのうたは、音楽を愛し、夢を追い続けることの大切さを教えてくれる素晴らしい映画です。
音楽を通じて人間関係が深まり、自己再生する過程が感動的で、映画を観終わった後に心に残るエネルギーを感じました。
音楽業界の現実や商業主義のプレッシャーに立ち向かいながらも、音楽そのものの力で乗り越えていく登場人物たちの姿には、強いメッセージが込められていると思います。
グレタとダンの関係性も温かく、互いに成長していく姿が心に残り、映画を観終わった後には前向きな気持ちにさせてくれる作品でした。