映画「メインストリーム」の感想(ネタバレあり)・レビュー・評価・あらすじ・動画配信まとめです。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。
上映日 | 2021年10月8日 |
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製作国 | アメリカ |
ジャンル | コメディ |
監督 | ジア・コッポラ |
脚本 | ジア・コッポラ、トム・スチュアート |
キャスト | アンドリュー・ガーフィールド、マヤ・サーマン=ホーク、ナット・ウルフ、etc. |
上映時間 | 94分 |
あらすじ
夢と野心が交錯する街LA。
20代のフランキーは映像作品をYouTubeにアップしながら、さびれたコメディバーで生計を立てる日々に嫌気がさしていた。
ある日、天才的な話術の持ち主・リンクと出会い、そのカリスマ性に魅了されたフランキーは、男友達で作家志望のジェイクを巻き込んで、本格的に動画制作をスタートする。
自らを「ノーワン・スペシャル(ただの一般人)」と名乗り、破天荒でシニカルなリンクの言動を追った動画は、かつてない再生数と「いいね」を記録。
リンクは瞬く間に人気YouTuberとなり、3人はSNS界のスターダムを駆け上がってゆく。
刺激的な日々と、誰もが羨む名声を得た喜びも束の間、いつしか「いいね!」の媚薬は、リンクの人格を蝕んでいた。
ノーワン・スペシャル自身が猛毒と化し、やがて世界中のネットユーザーからの強烈な批判を浴びるとき、決して起きてはならない衝撃の展開をむかえる。
映画「メインストリーム」予告編
感想(ネタバレあり)
SNSの光と闇
まず、この映画の主人公、フランクキー(アンドリュー・ガーフィールド)ね!
もう、彼の一挙手一投足が、SNSの狂気を体現しているようでした。
最初はただの自由奔放なイケメンに見えるんだけど、次第に「いいね!」やフォロワー数に取り憑かれて、どんどんエスカレートしていく姿は、見ていてゾッとしましたね。
そして、彼に惹かれ、巻き込まれていく主人公のフランキー(マヤ・ホーク)。
彼女の「普通の女の子」感が、フランクキーのぶっ飛んだ行動と対比されて、より一層、SNSの恐ろしさを際立たせていました。
彼女が動画編集を通して、フランクキーの才能を引き出す一方で、彼の暴走を止められなくなっていく過程が、本当にリアルで胸が締め付けられました。
憧れと嫉妬、そして破滅へのカウントダウン
この映画、SNSで一躍有名になることの「光」と、その裏に潜む「闇」を真正面から描いています。
フランクキーが型破りな言動で注目を集め、瞬く間に人気者になっていく様子は、まさに現代のSNS社会の縮図。
一発逆転を狙う人たちが、どこにでもいるんだなって思わされました。
でも、人気が出れば出るほど、彼の言動は過激になっていく。
そして、周りの人間、特にフランキーとの関係もギクシャクしていくんですよね。
最初は憧れだったフランクキーが、だんだん制御不能になって、最後は破滅に向かっていく姿は、見ていて本当に切なかったです。
特に印象的だったのは、フランクキーが「みんな僕のことを愛しているんだ!」と叫びながら、その実、誰にも理解されていない孤独を抱えているような描写。
SNSのフォロワーがいくら増えても、本当に心のつながりがないと、人間は満たされないんだなって痛感しました。
リアルすぎる演出と、胸に突き刺さるメッセージ
ギヤ・コッポラ監督の映像表現が、またすごかった!
SNSの画面をそのまま使ったような演出とか、コメント欄がリアルタイムで流れていく感じとか、まさに私たちが普段見ているSNSの世界を、そのまま映画に落とし込んだような臨場感がありました。
そして、この映画が伝えたいメッセージ。
それは「SNSの怖さ」だけじゃない気がします。
承認欲求、自己顕示欲、嫉妬、そして消費されるコンテンツと人間の関係性。
私たち自身も、知らず知らずのうちに、SNSの「メインストリーム」に乗せられて、何かの犠牲になっているんじゃないか?そんな問いを突きつけられているような気がしました。
観終わった後、自分のSNSの使い方とか、情報との向き合い方とか、色々考えさせられましたね。
「いいね!」って、本当に「いいね」なのか?って。
総評・まとめ
「メインストリーム」は、単なるSNS批判映画ではありませんでした。
現代社会の光と闇をリアルに描き出し、人間の承認欲求や孤独を深くえぐる、非常に示唆に富んだ作品です。
アンドリュー・ガーフィールドの怪演も素晴らしかったし、マヤ・ホークの繊細な演技も光っていました。
SNSを日常的に使っている人なら、きっと何かを感じ取れるはず。もしかしたら、少し心がザワつくかもしれません。
でも、それこそがこの映画の持つ力だと思います。
観終わった後、きっとあなたもSNSとの向き合い方を考え直すことになるでしょう。