映画「子宮に沈める」の感想(ネタバレあり)・レビュー・評価・あらすじ・動画配信まとめです。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。
上映日 | 2013年11月9日 |
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製作国 | 日本 |
ジャンル | サスペンス |
監督 | 緒方貴臣 |
脚本 | 緒方貴臣 |
キャスト | 伊澤恵美子、土屋希乃、土屋瑛輝、etc. |
上映時間 | 95分 |
あらすじ
夫の俊也から一方的な別れを告げられた由希子は、離婚後、娘の幸、息子の蒼空とアパートでの新生活を始める。
学歴や職歴もない由希子は、医療資格受験の勉強をしながら長時間のパートをし、2児を養うことになる。
しかし、経済的なこともあり、友人からの誘いで夜の仕事を始めるが、帰宅が深夜になる事が増え、家事や育児が疎かになっていく。
そして、育児からの逃避や寂しさを埋める為に通い始めたホストクラブに、次第に嵌っていく。
ある日、由希子は子供たちに食事を作って家を出る。
交際を始めたばかりの男性のもとへ、2度と帰らないつもりで―。
映画「子宮に沈める」予告編
感想(ネタバレあり)
ゆっくりと蝕まれる心
主人公の母親は、経済的な困窮によって徐々に精神を蝕まれていきます。
最初はごく普通の母親だったのが、離婚後、育児ネグレクト、そして最終的には信じられないような行動へとエスカレートしていく過程が、本当に生々しく描かれています。
特に印象的だったのは、部屋が荒れていく様子と、彼女自身の身なりがどんどん派手になっていく描写です。
社会の無関心と母性の闇
この映画を観て、様々なことを考えさせられました。
妻と子供を捨てた男の無責任さや育児ノイローゼなど、現代社会が抱える問題が凝縮されているように感じます。
もし、彼女に手を差し伸べる人がいたら?
もし、彼女がもっと早く助けを求めていたら?
そうすれば、あのような悲劇は避けられたのではないか…と。
そして、母性というものの持つ両面性についても深く考えさせられました。
本来、限りなく愛情深いものであるはずの母性が、追い詰められることで歪んでしまい、最悪の結末を招いてしまう。
その「闇」の部分に、真正面から向き合った作品だと思います。
総評・まとめ
正直、観終わった後に爽快感があるわけではありません。
むしろ、ズシッと心に重くのしかかるような、なんとも言えない感情が残りました。
しかし、目を背けたくなるような現実をここまで生々しく、そして丁寧に描いたこの作品は、多くの人に観て考えてほしいと強く思います。
特に、育児中の方や、これから親になる方には、是非一度観ていただきたいです。
きっと、何かを感じ、考えるきっかけになるはずです。
決して明るい話ではありませんが、心に深く刻まれる、忘れられない一本になることでしょう。